AダルトVデオの想像力。
キミは今日もネットで動画を見たと思う。
ただの「動画」じゃない。
アダルト動画、アダルトビデオだ。
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アニメ系、素人系、人妻系、中○し系、妊婦系・・・。
そのどれもに、キミたちをただならぬ気持ちにさせるものが含まれていただろう。
キミはこう思っている。
「女優が美乳で興奮する」
「ハンディカメラで撮影されたような荒い画質がとても良い」
「ちょいブサの顔に○射したい・・・」云々。
主な被写体である彼女たちに、自分のダーティな想念をぶつけ続ける。
電子的に構成された彼女たちに、キミはキミ自身をたたきつける。
決してまじわることのない、電子と精子の切り結びだ。
キミは画面に切り取られた彼女たちの肢体のゆれうごきや、声音や色素などの混交されたものを頂いて、精をひり出す。電子に変換された彼女たちの諸々から、精を生成するキミ。電子を精に変換する、キミは装置になっている。
エロ雑誌やエロ漫画では得られない、電子の音と映像の混交をキミは愛している。エロ雑誌やエロ漫画は音が出ない。だからその行間を想像するしかない。コマとコマの移行を、写真と写真の移行を、想像力で穴埋めするしかない。そこには電子的なもので代替されるものがないから。キミたちは、自分の脳で自分の脳を刺激するしかない。自分の頭をつかって、自分の頭の中の一部の器官を刺激して、精を生成せんとす。
エロビデオはその過程をはぶいてくれる。想像を挟む余地なく、完膚なきまでにそれを一掃してくれる。
ありがたい。
でも、それは彼女たちに対するただまらぬ想念を、だれとも知らないカメラマンによって作られた固まった想像を押し付けられることを意味しているかもしれない。キミは、だれかの想像力の中で精をひり出す。そんな毎日をくりかえしている。
だからキミは、まだ想像の赴ける場所を探すことになる。
それは画面から不当なまでに切り出された、ある種の空白だ。
ペニスしか映らない男たち。
AV女優にしゃぶられる1本。
彼女の体につつみ込まれる1本。
肉の中に入っていく1本
ペニスは電子的に構成された彼女たちの肢体や声音を活性化させる。
きりりと潔い1本は、彼女たちにうってつけで見栄えがある。
白く、つやのある1本は彼女が取り扱うだけで、ブランドもののように魅力的。
小汚い皮をまとう黒ずんだ1本も、彼女たちにかかれば芳醇な干しブドウのよう。
1本1本が、キミたちの想像力の回転を加速させていくのを感じていくだろう。
断じて、ホモセクシャルの目覚めではない。
伊藤剛も言っていたが、自分の想念をたたきつける先が少しぶれているだけなんだ。
キミは、彼女たちとペニス1本1本に感情移入ができる。
感情移入とは想像力を、その矛先へ交わらせていくことだ。
キミは電子的な混交から精をひり出す。
画面の中のペニスの持ち主へ想念をたたきつけながら、ともに精をひり出す。
ペニスに想像力を働かせながら、脳を刺激している。
彼女たちの電子的な混交が背景になり、ペニスの躍動が前景化されているのに気がつくはずだ。
これは想像力の反転だ。
「だれとも知らないカメラマンによって作られた固まった想像」、その意図されたAダルトVデオ空間における想像力の反転。
それは「革命」に等しい。
キミたちは、そこで精をひり出したとき、革命者の1人になる。
革命の快感に身をふるわせる。
みこすり半の革命だったかもしれない、
皮の中での革命だったかもしれない、嘘の女肉の中での革命だったかもしれない。
でもいいんだ。
キミたちは、自由だ。
想像力は飛翔する。
閉塞した電子と精子の切り結びの天窓を開け放つ、その想像力をぼくたちは歓迎する。